京の商店道
京都には、錦市場、寺町京極商店街等大きな商店街がいくつもあり、地元の人だけではなく多くの観光客で賑わっています。
しかし、そのような大きな商店街が点在する京都で、ノスタルジックであり、はたまたモダンな小さな商店街があるのをご存じでしょうか。
その商店街は、一見すると、路地や抜け道の様にも見えますが、よくよく見るとアケードやLEDライトの街灯が施された商店街!というのが、今回ご紹介する花遊小路(かゆこうじ)商店街です。
花遊小路商店街は、阪急電車「京都河原町駅」から徒歩約5分の場所にある商店街ですが、その全長は約60メートルしかなく、その中にグルメや趣味等のお店が20軒以上も建ち並んでいて、「京都で一番短い商店街」「日本で一番短い商店街!?」として有名です。
京都というと、うなぎの寝床と言われる町家が有名ですが、京の街がこの様な形になったのは、豊臣秀吉の時代。平安時代は正方形の碁盤の目でしたが、この碁盤の目の真ん中に道を通して短冊型にし、その街を守るため寺町通から鴨川までの間には、寺院を集中的に配置されたとのこと。その名残で、今も寺町から河原町にかけて多くの社寺が点在しています。
今の花遊小路商店街のあたりにあった金蓮寺(現在は京都市北区)もそのひとつで、明治時代に広大な境内を誇っていました。そして、その境内の一角に花遊軒という精進料理店が商いをしていたのですが、大正元年頃、この地域が再開発され、今の花遊小路商店街が誕生したそうです。
「花」に「遊ぶ」という美しい名称もこの花遊軒という屋号に由来しているとのこと。
また、あの忠臣蔵で有名な大石内蔵助にも縁がある地で、討ち入り前の2か月間を金蓮寺の塔頭にあった梅林庵で過ごし、京の名だたる遊郭で遊蕩にふけったという説があり、「大石内蔵助寓居跡」の石碑というのも建っていたのですが、残念ながら、火事でなくなってしまいました。
この商店街、昭和初期から中期にかけては、和装の流行の最先端をいく品々が揃う商店街で、役者や女優、舞妓や芸妓、そして、その旦那衆が買い物や食事のために訪れていたようです。
いつもよりちょっとお洒落に、そして、贅沢に過ごす“ハレの日”に寄り道をしたくなる場所、それが花遊小路商店街だったそうです。
この花遊小路商店街、位置的に四条通や河原町通への抜け道にもなります。
商店街とは知らず、この道に入り、素敵なお店を知る人も少なくはないでしょう。
車を運転していて前方に渋滞があると、ついつい渋滞を避けるため、抜け道や脇道を通る時がありますが、なぜかその時には速度をあげてしまいがちです。
何気なく入った抜け道や脇道には、この花遊小路のように居心地の良い場所があるかもしれません。安全のため、そして、折角通った道やその地域で何かを再発見するためにも、脇道、抜け道はゆっくり走りましょう。
花遊小路商店街:http://kyoto-kayukoji-st.org/